宮崎県の無料DX研修と、有料のAI研修。どちらを選ぶべきか

2026-08-26 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)

宮崎県内の企業から研修のご相談をいただいたとき、当社が最初にお伝えするのは「まず県の無料事業に申し込めませんか」ということです。

営業としては変な話に聞こえるかもしれません。ただ、宮崎県はデジタル人材の育成に県として本気で予算を割いている県で、無料で受けられる質の高いプログラムが実際に走っています。それで足りるなら、それが一番いい。

この記事では、県の事業の中身と、それでも自社向けの研修が必要になる場面を整理します。

宮崎県は「15,000人」を目標に掲げている

県のデジタル化推進計画(みやざきDXプラン、令和7年3月策定)には、達成指標としてこう書かれています。

Ⅳ 人材育成・確保分野 ① 産業人材の育成数 15,000人を育成(令和10年度目標)

県の人口は令和7年国勢調査の速報値で1,018,904人です。そのうち15,000人を育てるという目標なので、規模としてかなり踏み込んでいます。

同じ計画には、産業分野の指標として「県の支援によってDXに取組んだ企業・団体数 800者(令和5年度は314者)」という数字も置かれています。

出典:宮崎県デジタル化推進計画(みやざきDXプラン)

無料で受けられる県の事業

みやざきDXけん引人材育成事業

県の産業政策課が実施しているプログラムです。

  • 費用:無料
  • 内容:戦略策定コースと実践コースの2段階
  • 募集数:戦略策定コース70社/実践コース20社(選考あり)
  • 期間:戦略策定コースは9月〜10月、実践コースは11月〜2027年2月

説明文にある「単なるツール導入に留まらず、自社の課題に即した戦略策定から現場定着までを一貫してサポートする」という設計は、正直よくできています。実践コースは経営層とデジタル部門担当者の参加が必須で、現場だけに投げない作りになっている点も評価できます。

出典:宮崎県公式ページ

みやざきDX推進モデル企業創出プロジェクト

こちらは全6回のゼミ・ワークショップと個別伴走支援で、DX認定の取得までを目指すプログラムです。運営は有限責任監査法人トーマツ。

DX認定を取ると、宮崎市の「成長応援!設備投資サポート」のDX支援枠(30〜300万円、補助率2分の1)が使えるようになるため、補助金とセットで考える価値があります。

産業DXサポートセンター(無料相談窓口)

そもそも何から手をつければいいか分からない、という段階なら、ここに電話するのが一番早いです。

  • 実施:宮崎県情報産業協会/運営:株式会社宮崎県ソフトウェアセンター
  • 電話:080-2121-3841(平日9〜17時)
  • Zoom面談・LINE相談にも対応

「県内事業者のDXを一歩目からトータルサポート」を掲げている窓口で、相談は無料です。

出典:https://www.dx-miyazaki.com/

それでも自社向けの研修が要る、3つの場面

県の事業はよくできていますが、万能ではありません。以下の場合は、自社に合わせた研修を検討する意味があります。

1. 募集枠に入れなかったとき

戦略策定コースは70社、実践コースは20社で選考があります。宮崎県内の民営事業所は48,940(令和3年経済センサス確報)ですから、枠は限られています。申し込んだ全社が受けられるわけではありません。

2. 全社員に広げたいとき

県の実践コースは「経営層とデジタル部門担当者」の参加が必須です。つまり推進役を育てるプログラムであって、現場の全員を一度に底上げする設計ではありません。

推進役が育ったあと、その人が社内に広げる段になって「どう教えればいいか分からない」という壁にぶつかることがあります。そこは外から入ったほうが早い場面です。

3. 業種特有の業務に踏み込みたいとき

宮崎県の産業構造は、他県とかなり違います。

令和5年の農業産出額は3,720億円で全国第6位。そのうち畜産が2,483億円と66.7%を占め、鶏は全国2位、豚と肉用牛は全国3位です。製造業でも、事業所数・従業者数・出荷額・付加価値額のすべてで食料品が最多を占めています。

出典:宮崎県/農林水産省 生産農業所得統計

畜産の飼養記録、食品加工の表示文言、バイヤー向けの提案資料。 こうした業種固有の書類は、一般的なDX研修では扱いません。御社が実際に使っている書類を持ち込んで、その場で作るところまでやるなら、自社向けの研修になります。

規模が小さい会社ほど、まだ手つかずの業務が残っている

県が令和5年に473社へ行った調査に、こういう結果があります。

既にデジタル化の取組を進めている事業者は、従業員規模が101人以上の事業者で80%以上を占めるものの、それ以下の従業員規模の事業者では概ね50%程度

従業員100人以下の会社では、半分がまだ着手していないということです。

これは裏を返せば、手をつければ減る仕事がまだ丸ごと残っているということでもあります。しかも小さい会社は、決めれば翌日から変えられます。稟議や部門間の調整で半年かかる大企業より、効果が出るのはむしろ早い。

使い分けの結論

| 状況 | おすすめ | |---|---| | 何から始めるか分からない | 産業DXサポートセンター(無料相談) | | 推進役を育てたい・枠に入れそう | みやざきDXけん引人材育成事業(無料) | | DX認定を取って補助金につなげたい | みやざきDX推進モデル企業創出プロジェクト | | 枠に入れなかった/全社に広げたい/業種特有の業務を扱いたい | 自社向けのAI研修 |

無料の県事業で解決するなら、それが一番いいです。そのうえで足りない部分があれば、そのときにご相談ください。


※本記事の制度内容は2026年8月26日時点で各公式ページに掲載されていた内容です。募集状況・要件は変更されることがありますので、申し込み前に必ずリンク先の公式ページでご確認ください。

今長 学(いまなが まなぶ)の顔写真

この記事の著者: 今長 学(いまなが まなぶ)

Exist Japan株式会社 代表取締役。経産省認定 経営革新等認定支援機関、大分県中小企業アドバイザー。生成AIビジネス活用研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上。中小企業のAI活用とマーケティングを支援。→ プロフィール詳細

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